小川 整体院 の日記
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説明の難しさ
2017.02.09
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70代の男性のはなし。
数か月前に、胸骨の右横をさすりながら心配そうに「よくここがドクンドクンっていうんだよね。」という。私は心臓とは真逆の位置であり、男性の説明では皮膚の下あたりをさしていること、血圧は高めだが薬を飲んで安定していることなどから、筋肉の緊張により肋間動脈辺りが圧迫されているのだろうと推測した。
右肩の可動域を見ると結帯動作(手を背中に回す動作)だけがほとんどできない。普段の姿勢も小胸筋や大胸筋の緊張によって胸郭が狭まっている。このようなことからも私は筋肉の過緊張によるものであると説明をした。しかし心疾患を疑う男性は納得ができない。
そして先日、「病院へ行って心電図もとったけど異常がないっていうんだよね。」と再び私に訴える。思い込んでいる人に理解してもらうのは困難なものだ。でも本人はいつまでも不安を抱え、悩んでいる。理解できるまで説明をし、納得させてあげるのも私の仕事だと思っている。
胸郭出口症候群というのがある。首の硬くなった筋肉がその下を通る神経を圧迫し、手にしびれが出るものだ。梨状筋症候群というのがある。骨盤の中にある梨状筋というのが緊張して、その間を通る坐骨神経を圧迫し、しびれが出るものである。肩こりも程度によっては神経や血流を圧迫し、吐き気や頭痛をともなうものだ。男性の場合は場所的にしびれや痛みが伴わないだけのこと。さぁ例えで理解してもらえるだろうか。
因みに今回の話は、男性に心疾患の既往歴の無いこと、血圧も正常であること、場所や位置から心疾患を疑うような症状ではないことを前提に筋肉の説明をした。しかし本人が不安を感じていることからも、最初の段階で、念のために病院での受診を勧めている。もちろん心疾患の疑い、かつ原因の推測できない症状であれば、必ず病院での受診を勧めるだろう。当然のことだが常に安全、最善の判断を意識して仕事をしていることは理解して頂きたい。